大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)8790号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕……によると、原告は本件土地、建物につきなされた国津名義の所有権移転登記の抹消を求め、およびこれに関連して訴を提起し、または応訴するなどのため、弁護士碓井忠平に対しこの訴訟代理を原告主張(ハ)記載のとおり委任し、同弁護士に対し同項記載のとおり合計金一、八四〇、〇〇〇円の報酬などの支払を約し、これと同額の債務を負担したこと、同項(Ⅰ)ないし(Ⅶ)記載の事件はすべて原告が勝訴していることが認められ、右認定を動かすに足りる証拠はない。伊原のした不法行為は強度に違法な不法行為であり、このように違法性の著しい不法行為を排除するためには、弁護士に委任しなければ訴訟追行は困難であり、実際にも弁護士に委任するのが通常であるから、これに要する弁護士費用は、伊原の不法行為によつて直接生じた損害と認められる。ただ、その損害額は必ずしも実際に支払いまたは支払債務を負損した金額の全てではなく、事件の性質、難易度、訴訟物の価格と認容額その他諸般の事情を斟酌して権利主張のために必要であつたと認められる範囲に限られる。

……によると、本件土地、建物の時価は金一二、〇〇〇、〇〇〇円を超えること、これを基準にすると原告が支払いを約した弁護士の報酬額は、同弁護士の所属する第一東京弁護士会の定める弁護士報酬規則所定の報酬標準額を超えないものであると認められる。しかしながら、本件各訴訟事件は伊原の同一不法行為から派生する一連の事件であつて、主張、証拠とも大部分が共通するものであり、このことと取寄にかかる当該事件の記録に徴し明らかな訴訟の経過、後記慰藉料認容額その他諸般の事情を考慮するならば、原告の損害と認むべき額は、次のとおり合計金八六〇、〇〇〇円をもつて相当と判断される。

1 不動産処分禁止仮処分命定申請事件につき報酬 金三〇、〇〇〇円

2 仮処分異議申立事件につき報酬

金一〇〇、〇〇〇円

3 仮処分異議控訴事件につき報酬

金七〇、〇〇〇円

4 不動産所有権移転登記抹消登記手続請求事件につき着手金

金一〇〇、〇〇〇円

5 不動産所有権移転登記抹消登記手続請求控訴事件につき着手金

金一〇〇、〇〇〇円

6 4、5の事件につき謝金

金二〇〇、〇〇〇円

7 土地競売執行停止決定申請事件につき報酬 金三〇、〇〇〇円

8 第三者異議事件につき報酬

金三〇、〇〇〇円

9 本件損害賠償請求事件につき

着手金 金一〇〇、〇〇〇円

謝金 金一〇〇、〇〇〇円

(岩村弘雄 堀口武彦 小林亘)

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